最近の一戸建ては和室がない家も多く、和室が有っても「床の間」を見かけることが少なくなりましたね。
「床の間」は和室の象徴として重要な役割を果たしてきました。
畳の部屋である和室、「床の間」は座敷飾りのひとつで、正式には「床(とこ)」と言います。
床は少し高くなっていて、掛け軸や絵画を掛けたり、花や置物、骨董品や美術品などを飾り、お客様をもてなす神聖な場所とされていました。
部屋の奥にある床の間付近を「上座」、出入口付近を「下座」とし、上座には身分の高い人やお客様を迎えていました。
また「床の間」には「とこしえ(永久)」という意味が込められていて家の繁栄を象徴する存在でもあったのです。
現代の和室には「床の間」はもちろん、「鴨井(かもい)」や「欄間(らんま)」も見る機会が少なくなりましたが、日本の座敷(和室)には、伝統的で歴史的な思いが多く籠められてきました。
昔と比べて「床の間」が造られなくなったのは、床の間の役割や必要性を感じにくくなっていることと、和室自体がいらないものとして位置づけられているからだと思います。
必要性が低いと思われている「床の間」ですが、畳だけ敷かれた床の間の無い和室だと殺風景に感じることもあります。
もし、せっかく和室をつくるのであれば現代風に「床の間」も設けて、季節の花を生け、掛け軸や陶器を飾り、風情を感じてみるのも良いのではないでしょうか。