こだま返る風景

先日、アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.2

Echo こだま返る風景

という展示を見学してきました。

「街の風景」という馴染み深いモチーフを、

作家さんが、実際に見た景色やその記憶の断片から、

それぞれ独自の視点で表現されていました。

今回は、特に印象に残った作品を、ご紹介できればと思います。

◆後藤拓也さんの作品 《いえ》

お兄さんの家を改築する様子を間近で見たことをきっかけに、

見よう見まねでつくり始めたものだそうです。

その作り方は、最初に台座の段ボールに間取りを描き、

その設計図に沿って土台を組み、柱、壁、屋根と組み立てていくそうです。

素材には色画用紙が使用されており、

無数のステープラーで固定されていました。

屋根の無い部分から中を覗くと、しっかり柱や梁も有りました。

とても繊細で、緻密で、大胆な建築物だと感じました。

◆磯野貴之さんの作品 《でんちゅうでんせん》

真っ白の空間に置かれていたのは、

とても分厚いスケッチブックでした。

スケッチブックには、4万2千本の電柱、それらを一つにつなぐ無数の電線が描かれていました。

家族が運転する車で移動中に、後部座席に寝そべり眺めていたという車窓の景色を

3ヶ月かけて描かれて、36冊分になったスケッチブックを一冊にまとめた作品だそうです。

直接作品には触れられませんが、

ぱらぱらとページをめくっていく映像も上映されていました。

ぼんやりと眺めている時間を追体験しているような感覚でした。

作品の余白が、ゆったりとした時間を感じさせる美しい作品でした。

他にも、沢山の作家さんの作品が展示されていましたが、

どれも豊かな表現で、エネルギーに満ちていました。

私も、固定概念というものに縛られず、柔軟な考えを持ち、

お客様へご提案に活かすことが出来れば、と思います。

こちらの展示は、東京都渋谷公園通りギャラリーで

4月9日まで開催されていますので、ご興味のある方は、是非!