先日、「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」を鑑賞いたしました。

本展は、椅子を中心に約160点もの作品が展示されており、ウェグナーの生涯と思想を丁寧に辿ることができる内容となっています。

展示を通して印象的だったのは、ウェグナーが椅子を単なる造形物ではなく、「人の身体と暮らしに寄り添う道具」として捉えていた点です。
肘掛けや背もたれの曲線は美しさのためだけではなく、座る人の動きや姿勢を自然に受け止めるための必然的な形であることが、実物を前にするとよく理解できました。
大量生産が主流となっていく時代においても、素材や手仕事への敬意を失わず、誠実にものづくりと向き合い続けたウェグナーの姿勢には、強く胸を打たれました。






また、制作過程を紹介する展示の中で、椅子のミニチュア模型が並ぶコーナーも非常に印象的でした。
小さなスケールでありながら、プロポーションや構造が驚くほど正確に再現されており、思わず見入ってしまう可愛らしさがあります。


また本展では、椅子とともにハンス・ウェグナーの言葉が随所に展示されており、それらが非常に印象的でした。

「椅子は、人が座ったときに初めて完成します。」
という言葉に象徴されるように、彼の思考は一貫して人の身体と使われ方に向けられています。

「私は自分が芸術作品を製作していると考えたことはありません。よい椅子を作りたい、そう考えてやってきました。」
という言葉からは、造形や名声よりも、誠実なものづくりを何より大切にしていた姿勢が強く伝わってきました。
私はインテリアコーディネーターとして日々空間づくりに携わっていますが、今回の展示は、その仕事にも強く通ずる内容だと感じました。
美しさやトレンドを追うだけでなく、「誰が、どのように使い、どのような時間を過ごすのか」を起点に考える姿勢は、ウェグナーの椅子づくりと共通しています。
体験コーナーでは13種類の椅子を座り比べることができましたが、その中でもYチェアはやはり別格の心地よさを感じました。
身体に無理なく馴染み、長時間座っても違和感のない感覚は、「名作」と呼ばれ続ける理由を改めて実感させるものでした。
ウェグナーの椅子づくりを見て、聴いて、感じて、触れて、、、
人の身体や暮らしに誠実に向き合い続けることの大切さを、改めて確認できる展示でした。